ペーパーレス化のメリットとは?推進の背景や円滑に進める方法を解説

ペーパーレス化のメリットは、書類保管のコストやスペースを削減できるだけではなく、テレワークなど新しい働き方にも柔軟に対応できることです。DX化やSDGs、電子帳簿保存法などにも対応できることから、企業のイメージアップにもつながります。
この記事では、ペーパーレス化推進のメリットや注意点、円滑に進める方法について解説します。社内のペーパーレス化が進まず悩んでいる担当者の方は、ぜひ参考になさってください。

ペーパーレス化とは?

ペーパーレス化とは、これまで書類にまとめていた内容をデータ化して紙の使用を減らす、または廃止する取り組みのことです。ExcelやWordで作成したデータをそのまま利用したり、記入した書類をスキャンして電子データとしたりする方法があります。

ビジネス文書から会議資料、稟議書などさまざまな書類を電子化することで、業務効率化やコスト削減ができると期待されています。ビジネスシーン以外に書籍やチケットも電子化されつつあり、社会全体でペーパーレス化が推進されています。

ペーパーレス化の対象書類

ペーパーレス化の対象書類は、「電子帳簿保存法」や「e-文書法」のそれぞれで定められています。

  • 電子帳簿保存法:財務省・国税庁が管轄する国税関係書類
  • e-文書法:会社法などにもとづいて保存義務のある法定文書
国税関係書類(帳簿書類)総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金・買掛金元帳固定資産台帳、売上・仕入帳など
決算関係書類棚卸表、貸借対照表、損益計算書など
取引関係書類(証憑書類)契約書、領収書、見積書、請求書、注文書、納品書など
会社関係資料株主総会・取締役会議事録、役員名簿、会議資料・議事録など

そのほかにも、カタログや書籍、販促物や図面、商品サンプルなど紙ベースの書類なら、すべて電子データ化によるペーパーレスが実現できます。

会議資料については、ペーパーレス会議を可能にするシステムがおすすめです。会議の準備の効率化やセキュリティの向上、テレワーク対応などさまざまなメリットがあります。
下記の記事では、ペーパーレス会議システムについてくわしく紹介していますので、ぜひ参考になさってください。

【2022】ペーパーレス会議システムおすすめ10選!メリット・デメリット&選び方

ペーパーレス化推進の背景や目的

ペーパーレス化推進が始まった背景は、DX化やSDGs、電子帳簿保存法などへの対応がもとめられたためです。どのような目的があるのかかんたんに解説します。

DX化社会に対応するため

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、デジタル技術を取り入れることで生産性を高める仕組みを指します。デジタル技術を活用するためには、まず紙の書類などアナログデータのデジタル化が必要です。

電子データは管理・保管がしやすく、ビッグデータとしてマーケティング活動などに利用できます。電子契約システムや営業支援システムなどWebツールの活用が当たり前になりつつあるなかで、企業として生き残るためには、紙の書類に依存したやり方から脱却してDX化社会に対応していかなければなりません。

SDGsに対応のため

SDGsは持続可能な開発目標の意味があり、2016年から2030年までの15年間で達成するために掲げた開発目標です。企業によるSDGsの取り組みが社会との協調のために必要とされています。

ペーパーレス化はSDGsが掲げる17のゴールのうち以下3つに関係しています。

  • 12番:つくる責任 つかう責任
  • 13番:気候変動に具体的な対策を
  • 15番:陸の豊かさも守ろう

地球温暖化の要因ともいわれる二酸化炭素(CO2)は、紙の製造や処分にも関係しています。紙の節約につながるペーパーレス化に取り組むことで、社会全体の課題となっている環境保全のためのSDGsに対応が可能です。

電子帳簿保存法に対応するため

2021年の電子帳簿保存法改正により、国税関係書類などの電磁的記録保存が義務化されました。

電子帳簿・電子書類電子的に作成した帳簿や書類をデータで保存する
電子取引メールなど電子的に授受した情報をデータで保存
スキャナ保存取引関係書類を画像データで保存

保存要件が複雑なこともあり、すぐに対応できない中小企業も多かったことから、2023年12月31日までは猶予期間が設けられていました。2024年1月1日以降の取引や作成した書類からは、電子帳簿保存法が適用されるため、ペーパーレス化を進めていく必要があります。

ペーパーレス化が企業にもたらすメリットや効果

ペーパーレス化は企業に以下の5つのメリットをもたらします。

  • 書類保管のコスト・スペース削減
  • 業務効率の改善
  • 書類関係のセキュリティ強化
  • テレワークへの対応力アップ
  • 企業イメージの向上

それぞれくわしく解説します。

書類保管のコスト・スペース削減

ペーパーレス化により以下のコストを削減できます。

  • 用紙代
  • プリンター:リース代・メンテナンス費・インク代
  • 保管用キャビネットの購入・管理費用
  • 郵送費
  • 廃棄費

たとえば1日に1,000枚の書類を作成し、1枚3円の印刷費がかかるとした場合、月額約6万円かかります。取引先に郵送したり、書類を廃棄したりするとさらにコストがかかるでしょう。ペーパーレス化ができれば、こうしたコストは削減できます。

電子化された書類はサーバーやクラウドストレージに保存が可能です。これまでオフィスに保管用のキャビネットを設置していたのなら、書類を保管するスペースの削減につながります。

業務効率の改善

ペーパーレス化により業務効率を改善できることがメリットとして挙げられます。
文書作成ソフトにはキーワード検索機能があり、必要な情報をすぐに見つけたり、別の語句に置き換えたりといったことができます。修正がしやすいため、一から作り直す手間がかかりません。こうした点も業務効率を上げる要因のひとつといえるでしょう。

保存するデータが増えてきたら、クラウドストレージの容量を追加すれば解決します。クラウドストレージに保存したデータは、インターネット環境があればどこからでもアクセスできるため、稟議書などもリアルタイムで承認をもらうことが可能です。

書類関係のセキュリティ強化

ペーパーレス化することで書類関係のセキュリティを強化できます。紙の書類はキャビネットから持ち出せば、かんたんに見ることが可能です。社外に持ち出しても気が付きにくいため、情報漏えいなどのトラブルにつながりやすいデメリットがあります。

電子データはアクセス権限を設定できるため、扱う人を制限することが可能です。バックアップや暗号化などの対策をすることで、書類の電子データを安全に保管できます。

テレワークへの対応力アップ

ペーパーレス化が進めば、業務に必要な書類がほぼ電子化されます。承認プロセスが必要な書類も、電子印鑑などで対応が可能です。

クラウドストレージに保存された電子データは、場所や時間を問わずアクセスできるため、テレワークへの対応力も上がります。災害や感染症対策が必要なときも業務を継続することが可能です。

ペーパーレス化によりオフィスに依存せず、テレワークなど多様性に対応した環境をつくることができます。

企業イメージの向上

ペーパーレス化はSDGsや環境保全活動の取り組みとして、企業イメージを向上させることが可能です。
環境保全に関する意識が高まっていることから、消費者からもこうした活動に取り組む企業の製品を選ぶ傾向があります。

ペーパーレス化への取り組みは、コストなど数値で把握することが可能です。どれだけ紙の消費量を削減できたのか、かかるコストを抑えることができたのか、コーポレートサイトで公表することで社外に実績をアピールできます。積極的に取り組むことで企業イメージの向上だけではなく、他社との差をつけることが可能です。

ペーパーレス化によるデメリットや注意点

ペーパーレス化はメリットばかりではありません。導入するうえで知っておいてほしい注意点とデメリットがあります。それぞれかんたんに解説します。

導入費用がかかる

ペーパーレス化の導入には、紙の書類を電子データ化するために新しいシステムやツール、専用端末を導入しなければなりません。おもに以下のようなシステムや機器が必要です。

  • パソコン・タブレット
  • スキャナー
  • クラウドストレージサービスの登録
  • 電子契約システム
  • ペーパーレス会議システム

クラウドストレージサービスやインターネット回線を使用したシステムは導入費用だけではく、月額費用もかかります。企業や部署の規模が大きいほど導入費用もふくらむため、気になるシステムがあればまずは見積もりを依頼してください。

システム障害リスクの理解と対策が求められる

ペーパーレス化を導入するときは、システム障害のリスクや機器が故障したときの対応について理解しておかなければなりません。

電子データを保存するシステムやツールは、インターネット回線を使用するため回線トラブルによるシステム障害のリスクがあります。万が一に備えてデータのバックアップをとり、復元できるようにしておかなければなりません。

誰でもすぐに対応できるように、使いやすいシステムやツールを選ぶことが大切です。使わない機能はオフにできるなどカスタマイズできると便利です。提供する会社にサポート体制があるか確認もしてください。

紙と比べて全体を把握しづらい

電子データは紙のようにいくつもの資料を広げて見ることはできません。ディスプレイの大きさを考慮して作成していないため、環境によっては紙の資料より見にくいおそれがあります。ペーパーレス化により業務に支障をきたさないためにも、複数のディスプレイや大型ディスプレイを用意するなど工夫が必要です。

もちろん、端末上で拡大や縮小は可能ですが、どうしても紙の書類とは見え方が異なります。書類の用途や目的によっては紙のまま運用することも検討してください。

アクセス権限の管理が重要になる

ペーパーレス化を導入するときは、データを安全に保存し、管理や検索、共有ができるようにアクセス権限など厳格な管理が求められます。しかし、高度なセキュリティ環境を構築しても、データを扱う従業員のITリテラシーが低いと情報漏えいなどセキュリティリスクが高まります。

安全に扱うために、セキュリティ管理のための知識と理解が従業員全体に求められます。万が一に備えて、誰がいつデータにアクセスしたのかログ監視ができるシステムの導入も検討してください。

ペーパーレス化推進の意図を全員が理解する必要がある

ペーパーレス化に取り組むときは、ペーパーレス化で得られるメリットや効果などを従業員全員が理解しておかなければなりません。

メリットを周知せずにスタートしても、現状扱っている書類のデータ化は進んでいるものの、押印のために出社したり、印刷して郵送したりといった形だけのペーパーレス化となってします。
せっかくペーパーレス化を導入しても、効果が得られなければ意味がありません。事前に理解してもらうための周知を行ってください。

企業でペーパーレス化が進まない3つの理由

ペーパーレス化はメリットがあるものの、すべての企業で導入が進んでいるわけではありません。企業でペーパーレス化が進まない3つの理由を解説します。

1. 社内規定で紙書類の提出が決められている

企業でペーパーレス化が進まない理由の1つが社内規定による取り決めです。
「署名・押印が必須」「必ず印刷をして確認」など社内規定で書類は紙媒体でなければならないと決められていると、社内規定から見直さなければなりません。

見直しには手間がかかるため、ペーパーレス化に今すぐ対応しなくてもよいだろうと先送りされているのです。

2. 社内のITリテラシーが低い

社内のITリテラシーが低く、ペーパーレス化の重要性を理解していないという理由もあります。
とくにずっと同じやり方で成果を出してきた企業の経営層には、「ペーパーレス化なんて意味ないのでは?」と新しいシステムの導入にためらいがちです。

また、従来のやり方で問題なく業務がまわっていると、業務フローに影響を与えるペーパーレス化に抵抗をもつ従業員もいるでしょう。このような状況を黙認していると、いつまでたっても効率化につながるシステムの導入はできません。

3. ペーパーレス化への順応に時間がかかっている

ペーパーレス化が進まない理由は、ペーパーレス化に順応するのに時間がかかっているケースです。
ペーパーレス化は電子決済システムや勤怠管理システムなど、さまざまなシステムの使い方を覚えなければなりません。どんなものでも慣れるまでに時間がかかるため、慣れていないと「本当に効率化されているのか」と不安を覚える従業員もいるはずです。

最初は従来のやり方よりも時間がかかると思いますが、ペーパーレス化を進めるためにはやむを得ません。

ペーパーレス化を円滑に進める方法

社内のペーパーレス化を円滑に進めるには、組織全体のマインドを変えて計画的に進めていかなければなりません。ペーパーレスかを円滑に進める方法は以下のとおりです。

  • 経営層の意識改革を行う
  • 社内周知や教育を実施する
  • ペーパーレス化の対象を洗い出す
  • ツールを導入する

それぞれかんたんに解説します。

経営層の意識改革を行う

ペーパーレス化を円滑に進めるには、ビジネススタイルを根本的に変えていかなければなりません。企業にはCSR(企業の社会的責任)があり、環境などに配慮した取り組みが求められています。

社会的にSDGsなど環境保全に対する取り組みは、消費者から評価されやすいことを経営層に伝えれば「意味ない」といっていた経営層の意識も変わるかもしれません。経営層の意識が変わることで、従業員にも説明がしやすくなります。

社内周知や教育を実施する

ペーパーレス化を進めるときは、従業員に目的やメリット、効果などを理解してもらなければなりません。いきなり新システムを導入して業務フローを変えると混乱を招くため、段階的に進めていきます。

事前研修や説明会を実施して説明をすることで、従業員の協力を得ることが可能です。ITリテラシーが高めな部署から導入するなど、部署や業務単位で進めていきます。導入後は必ず効果測定を行うことで、つぎはどの部署や業務に導入するか決めることが可能です。

ほとんどの書類は必ず紙でなければならない理由はありません。公正証書や賃貸借契約書などのデジタル化も進んでいます。紙の書類がすべてNGになってから対応するよりも、今から少しずつ進めることが大切です。

ペーパーレス化の対象を洗い出す

ペーパーレス化に取り組む対象書類を洗い出してください。一度にすべての書類をペーパーレス化させようとするのではなく、段階をふんで取り組むことが大切です。現在の業務でペーパーレス化しやすい書類の優先順位を決めていきます。

段階的に進めていけば、大きな混乱もなく、ミスやトラブルも小さいうちに解決できます。ファイルの管理方法などペーパーレス化にあたって必要なルールも事前に策定しておいてください。

ツールを導入する

ペーパーレス化には電子データを管理するツールやシステムが欠かせません。電子契約システムやクラウドストレージによる文書管理など、業務にあわせてたくさんのツールが展開しています。

毎日使用する従業員が扱いやすく、担当のITリテラシーにあわせて選ぶことが大切です。無料期間が設けられているツールもあるので、一定期間使い勝手を試してみてもよいでしょう。

また、ツールによっては導入費用以外に月額で利用料金がかかるものもあります。予算にあわせて、自社環境に適したツールを選んでください。

まとめ:人事労務のペーパーレス化を進めるなら「人事労務コボット」がおすすめ!

ペーパーレスのメリットは、書類作成のコストや保管スペースの削減、データ共有による業務効率の改善などがあります。ペーパーレス化を円滑に進めるには、まず取り組みやすい部署や業務から始めるのがポイントです。売上に直接影響を与えない人事業務なら、取り組みやすいのではないでしょうか。

ディップ株式会社が提供する『人事労務コボット』は、入社手続きに必要な書類の電子化が可能です。ペーパーレス化により、作業時間が約85%削減。運用サポート体制も整っているため、万が一のときも迅速な対応が可能です。

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