オンライン契約書は、作成から署名、締結までをオンラインで完結できることから、契約業務を効率化し、締結までのスピードを向上できます。
しかし、メリットの大きい一方で、知っておきたいデメリットも存在します。導入にあたっては、デメリットも把握した上で、適切な運用体制を整えることが大切です。
そこで今回は、オンライン契約書を作成するメリット・デメリットや作り方などを解説します。おすすめのオンライン契約書システムも紹介するので、ぜひお役立てください。
オンライン契約書とは
オンライン契約書とは、作成、署名、契約のプロセスを電子的に行う契約書のことです。「電子契約」とも呼ばれ、書面に署名、押印する代わりに、電子データに電子署名をして契約を締結することができます。
そもそも、契約は原則として双方の合意があれば成立します。必ずしも書面で締結しなければならないというルールはありません。しかし、口頭での契約は、言った言わないのトラブルに発展しやすいため、契約書を作成して合意内容をまとめることが推奨されているのです。
オンライン契約書は、そんな合意内容の証拠として残す方法の一つです。従来の紙の契約書と同様、適切な使い方をすれば、法的に有効性が認められています。
オンライン契約書のメリット
オンライン契約書には、従来の書面契約と比較してどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、主なメリットを4つ解説します。
・契約締結にかかる時間を短縮できる
・コスト削減につながる
・契約業務を効率化できる
・コンプライアンスを強化できる
契約締結にかかる時間を短縮できる
オンライン契約を導入すると、契約締結までにかかる時間を大幅に短縮できます。契約書の作成から送付、署名、返送、締結までのプロセスをすべてオンライン上で完結できるため、早く契約を交わせます。
紙の契約書のように、契約書を印刷して郵送し、取引先に署名、押印してもらった上で返送してもらう手間がかかりません。これまで数日かかっていたところ、オンライン契約書を導入すれば最短で1日で契約を締結することが可能になります。
コスト削減につながる
コスト削減につながることも、オンライン契約書を導入するメリットの一つです。
オンライン契約書は、書面に対してかかる印紙税がかからないため、印紙代を節約できます。また、契約書をオンライン化すれば、紙代やインク代、郵便代といったコストも削減できます。
さらに、契約業務の効率化による人件費の削減効果のほか、物理的な保管場所を必要としないことから、保管にかかるコストも削減可能です。日常的に多くの契約を交わす会社であれば、オンライン契約書に移行することで大きなコスト削減を期待できるでしょう。
契約業務を効率化できる
上記のメリットと関連して、契約に関する業務効率が上がるというメリットもあります。
紙の契約書では、契約書の作成後、取引先に送るまでに「印刷、製本、印紙貼付、押印、封入、送付」という作業が必要です。さらには、取引先から返送してもらった後も、リスト作成やファイリング、倉庫で保管といった手間がかかります。
一方、オンライン契約書なら、作成した契約書をオンライン上で電子データとして取引先に送るだけで、スピーディーに契約業務を進めることができます。
また、締結した契約書をオンラインで管理すれば、契約締結後の事務作業まで効率化できます。倉庫に行って契約書を探し出す手間なく、パソコンで取引先や契約日時、契約金額などを指定するだけで、探している契約書を簡単に検索、閲覧することが可能です。
コンプライアンスを強化できる
オンライン契約書に移行することには、コンプライアンスを強化できるというメリットもあります。
書面契約と異なり、オンライン契約書はクラウド上で契約書や進捗状況などを一元管理できます。そのため、締結漏れや管理漏れ、紛失などといったトラブルを未然に防ぐことが可能です。
また、閲覧制限を設けたり、データベース上にアクセス履歴が残るようにしたりしておけば、データ改ざんなどの内部不正も防止できます。
オンライン契約書のデリット
メリットの大きいオンライン契約書ですが、注意点も存在します。総合的な判断ができるよう、次の3つのデメリットを押さえておきましょう。
・ワークフローの社内調整に手間がかかる
・取引先の理解と協力が必要
・オンライン化できない契約書もある
ワークフローの社内調整に手間がかかる
オンライン契約書の導入にあたっては、契約業務のワークフローを一新する必要があり、社内調整に手間がかかることがあります。というのも、新たなワークフローに慣れるまでは戸惑ったり、時間がかかったりすることがあるためです。
とはいえ、オンライン契約書のワークフローは書面契約と比べて簡素なことから、一度定着してしまえば業務が効率化されるケースがほとんどです。システムを活用した契約業務のワークフローや、システムの使い方をまとめたマニュアルを作成するなどして、社内調整を進めていきましょう。
取引先の理解と協力が必要
契約は取引先ありきの業務であることから、オンライン契約書に移行するにあたっては、取引先の理解や協力を得なければなりません。
取引先が書面契約を望む場合や、取引先に登録やサービス加入などの負担がかかる場合、トラブルにつながるリスクも考えられます。また、取引先が自社とは異なるオンライン契約書システムを利用している場合、どちらのシステムを利用して契約を交わすか話し合う必要も出てくるでしょう。
取引先に負担がかかることのないよう、できる限り配慮しながら、オンライン契約書の導入を進めていく必要があるでしょう。
オンライン化できない契約書もある
業務委託契約書や雇用契約書、取引基本契約書など、一般的な契約書であれば基本的に条件なくオンライン化することができます。しかし、中にはオンライン化が認められていない契約書も存在するので注意が必要です。
以下は、オンライン化が認められていない契約書の一例です。
- 任意後見契約書
- 販売訪問などで交付する書面
ただし、近年ではデジタル社会に向けた取り組みの一環として法の見直しが進み、オンライン化できる契約書の種類が増えてきています。上で紹介した契約書についても、今後オンライン化が認められる可能性は十分にあるでしょう。
初めてオンライン契約書を導入する場合は、最新の情報をチェックすることが大切です。
オンライン契約書の作り方
では、オンライン契約書はどのようにして作成すれば良いのでしょうか?オンライン契約書を作る方法は、大きく分けて3つあります。
・WordやExcelで作成する
・自社で環境を整え作成する
・オンライン契約書システムを利用する
WordやExcelで作成する
一つ目の方法は、WordやExcelなどのオンラインツールを使って契約書を自力で作成する方法です。WordやExcelで作成した契約書をPDFに変換すれば、契約書をオンラインで取引先に送付することができます。
しかし、PDFの契約書には、改ざんのリスクが高いというデメリットがあります。万が一、取引先との間でトラブルが生じ、訴訟に発展した際、WordやExcelで作成した契約書は、合意内容の証拠として認められない可能性が高いでしょう。
WordやExcelを使ってオンライン契約書を作成することは不可能ではありませんが、データ偽装や改ざんのリスクが高いため、あまり現実的ではないといえます。
自社で環境を整え作成する
自社で環境を構築して、オンライン契約書を作成する方法もあります。
しかし、電子契約の要件を満たす電子署名システムを自社で構築するには、専門知識が乏しいことから、非常に多くの時間と労力を要してしまいがちです。また、ITシステムやサーバー環境を整えたり、定期的にメンテナンスしたりと、膨大なコストもかかるため、あまり現実的ではありません。
オンライン契約書システムを利用する
上記2つの方法のデメリットを解消する方法としておすすめなのが、オンライン契約書システムを利用する方法です。
オンライン契約書システムとは、オンライン契約書の作成、送付、締結、保管に特化したシステムのことです。月額制のクラウド型システムが主流で、ネット環境さえあればとても手軽に導入することができます。
オンライン契約書システムは、WordやExcelで作成するのと比べて、コンプライアンスをしっかり強化でき、自社でシステムを構築するのと比較して大幅に労力やコストを削減できるというメリットがあります。このことから、オンライン契約書の作成方法として、最もスタンダードだと言えます。
オンライン契約書の導入にあたっては、システムの利用を検討するとスムーズでしょう。
オンライン契約書システムの選び方
上述したように、オンライン契約書の作成には、システムの導入がおすすめです。ここでは、自社に合ったオンライン契約書システムを選ぶポイントを3つ解説します。
・導入・ランニングコスト
・機能
・操作・使いやすさ
導入・ランニングコスト
オンライン契約書の導入および運用にかかるコストは、システムやプランによって異なります。システムを比較選定する際は、「いくらで導入できるか」「毎月いくらかかるか」を欠かさず確認しておきましょう。
クラウド型のオンライン契約書システムの場合、次の2つの料金形態が一般的です。
- 基本料金+契約送信件数に応じた従量課金
- 月額定額制(契約送信件数の制限なし)
割安な基本料金で利用できる分、契約書の送信件数に応じて課金されるシステムもあれば、基本料金が少し高い代わりに送信数無制限のシステムもあります。自社の契約書発行件数に応じて、ランニングコストを安く抑えられるシステムを選ぶと良いでしょう。
機能
オンライン契約システムは、基本的な契約書作成、送付、締結に必要な機能に加えて、システムごとにさまざまな機能を搭載しています。
システムを導入するにあたっては、オンライン契約の安全性を高める機能や、効率化に役立つ機能など、自社に必要な機能が充実しているかをチェックすることが大切です。
以下は、オンライン契約システムの主要機能の一例です。
電子署名機能 | 契約書の本人性と非改ざん性を証明できる |
タイムスタンプ機能 | 署名や契約書の作成日時を記録できる |
ワークフロー機能 | 承認ルートの設定や進捗状況の確認ができる |
アラート機能 | 期限日切れや滞りがあった際に通知を行う |
保管・検索機能 | 契約書をクラウド上で保管したり検索したりできる |
ただし、基本的に多機能であるほど料金も割高になるため、自社が必要とする機能が過不足なく備わっているシステムを選ぶことが理想的です。契約業務で抱えている課題や、効率化したい業務範囲に合わせて検討しましょう。
操作・使いやすさ
オンライン契約システムを選ぶにあたっては、操作性や使いやすさも重要なポイントです。直感的に操作しにくかったり、使いにくかったりすると、業務効率が落ちてしまいかねません。最悪の場合、システムを導入しても定着しない可能性も考えられます。
なお、使いやすさを重視してオンライン契約書システムを選ぶなら、「ワークフロー機能があるか」を基準に選ぶと良いでしょう。ワークフロー機能では、承認や押印のフローを可視化できるため、使いやすさがアップします。
オンライン契約書システムなら「人事労務コボット」がおすすめ
オンライン契約書システムなら、当社ディップ株式会社が提供する「人事労務コボット」がおすすめです。
人事労務コボットは、入社手続きと雇用契約をスマートフォンで完結できるシステムです。入社手続きで必要な雇用契約書をスマートフォンで簡単に締結し、人事労務業務の工数を大幅に削減することができます。
人事労務コボットの導入により、ハンコレスとペーパーレスを実現することで、入社対応の作業時間を「約85%」削減可能です。従来、約1〜2週間かかっていた入社手続きを、約1〜3日で完結できるようになります。
人事労務コボットでできること
- 契約書の電子サイン
- 従業員の個人情報取得・変更管理
- オンライン上での保証人サイン
雇用契約書や誓約書などの作成、送付、締結の一連のプロセスをオンライン上で行えるほか、マイナンバー管理や社労士との共同管理、CSV出力などの機能も搭載しています。シンプル操作の管理画面で、スムーズに作業を行えることも、人事労務コボットの魅力の一つです。
また、従業員は、スマートフォンで簡単に書類を確認し、署名できるので契約締結をスムーズに実現できます。
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まとめ
オンライン契約書を作成するメリット・デメリットや作り方などを解説しました。
オンライン契約書は、契約書作成から締結までの時間を短縮し、業務効率化やコスト削減できるというメリットがあります。システム導入にあたっては、ワークフローの調整や取引先との話し合いが必要になることもありますが、毎月多くの契約を交わす会社であれば、デメリットを上回るメリットが期待できるでしょう。
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