離職票は後から請求可能

企業の人事や労務担当の方は、離職票(雇用保険被保険者離職票)について、正しく理解していますか?

退職者の方は「離職票は後から請求できる?」「もらえるタイミングは?」「もらえない時はどうする?」など、離職票についての不安を抱えがちです。離職票の役割、退職証明書との違い、発行するタイミング、退職者から後日請求された場合など、人事や労務を担当する社員はいずれも正しく理解しておく必要があります。

今回は、離職票の役割から交付するタイミング、作成が必要なケースなどについて解説します。離職票について悩んでいる退職者や企業の人事労務担当の方は、ぜひ最後までご覧ください。

離職票とは?

離職票とは、「雇用保険被保険者離職票」のことを指し、退職者がハローワークで失業給付や求職の手続きをする際に必要となる書類です。主にハローワークで使うための書類であるため、退職者が次の転職先が決まっている場合は基本的に必要ありません。

また、離職票には「雇用保険被保険者離職票-1(離職票-1)」と「雇用保険被保険者離職票-2(離職票-2)」の2種類が存在します。それぞれの特徴は次のとおりです。

離職票の種類

雇用保険被保険者離職票-1(離職票-1):雇用保険の資格喪失を通知するための書類
雇用保険被保険者離職票-2(離職票-2):離職理由(会社都合または自己都合)、被保険者の期間、賃金の支払い状況などを通知するための書類

事業者はハローワークに対し、離職日の10日以内に「離職証明書」と「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出しなければなりません。

離職票は後から請求できる?

結論をお伝えすると、退職者は離職票を後から(退職から一定期間空いた場合)請求することもできます。「離職票を紛失した」「退職時は不要だったが後から必要になった」など、離職票を退職から一定期間空いてから請求する場合もあるでしょう。

離職票には発行期限や有効期限がありません。そのため、離職票を発行すること自体はいつでも可能です。

ただし、失業給付を受けられる期間には期限があり、原則として退職日の翌日から1年間です。それ以降は離職票があっても受給できないため注意しましょう。

離職票は何に必要?

離職

離職票は、退職者がハローワークで失業給付を受けるために必要な書類です。会社側は離職者に離職者が必要か確認し、必要であれば速やかに手続きを取る必要があります。

ハローワークへの離職証明書の提出期限は、離職者の離職日から10日以内です。この期間に必ず手続きを終え、ハローワークへ提出しなければなりません。

離職票は失業給付を受けるための公的な書類です。離職票の発行を拒否することは、雇用保険法第76条第2項(報告等)に該当する違法行為にあたります。

離職票は、退職者が次の転職先が決まるまでの大切な収入源に関わるものです。忘れずに発行するようにしましょう。

離職票をもらえる時期

離職票は、会社を離職してから10日〜2週間ほどで会社から郵送されます。2週間以上経っても届かない場合は、会社へ問い合わせてみましょう。離職票の発行から退職者の手元に届くまでの流れは次のとおりです。

離職票発行からの流れ

1. 退職者に対して会社が離職票の交付を希望するか確認する
2. 会社が離職日の翌日10日以内までに「ハローワーク」へ雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書を提出する
3. ハローワークが「雇用保険被保険者離職票-1(離職票-1)」と「雇用保険被保険者離職票-2(離職票-2)」を会社宛に交付する
4. 会社が退職者に対して離職票を郵送する

会社側は離職者への郵送が遅れるほど、離職者の失業給付の受給期間が短くなることを理解しておく必要があります。1日でも早く離職者が失業給付の手続きができるよう、退職者から離職票の希望があった際には速やかに対応しましょう。

離職票をもらえない時はどうする?

会社から離職者をもらえない時の対処法は、次の2つです。

対処法

離職した会社に問い合わせる:会社が退職関係の手続きを怠るのは、違法行為にあたります。臆すること無く問い合わせましょう。ずさんな会社の場合、手続きを忘れている可能性もあります。
ハローワークに問い合わせる:何らかの事情で会社と連絡を取るのが困難な場合は、ハローワークに問い合わせましょう。ハローワーク経由で、会社に対して離職票の発行を促せます。

また、会社側は退職者がスムーズに失業給付を受給できるよう、速やかに退職関係の手続きを済ませましょう。

離職証明書の作成が必要なケース

会社側が離職証明書の作成が必要となるケースは、次の2つです。

離職証明書の作成が必要となるケース

・退職者から離職票の交付を請求された時
・退職者の年齢が59歳以上に該当する時

上記に該当する場合は、会社側が速やかに離職証明書を作成する必要があります。では、それぞれのケースについて詳しく解説します。

退職者から離職票の交付を請求された時

従業員が会社を退職する際に離職票の交付を請求した場合は、速やかに発行する必要があります。雇用保険法施行規則7条において、会社側は離職者に対して「退職日の翌々日から10日以内」に所轄のハローワークへ離職証明書を提出する義務があると定められています。

ただし、退職者から不要との申し出があった場合は、離職証明書の提出は必要ありません。

退職者の年齢が59歳以上に該当する時

退職者の年齢が59歳以上の場合は、離職証明書の提出が必要です。仮に退職者が離職証明書の発行を希望しなくても、必ず提出が必要です。

なぜ退職者の希望の有無を問わず提出が必要かというと、「高年齢者雇用安定法」に離職証明書が関係するためです。

高年齢者雇用安定法の一部改定により、60歳以上64歳までの労働者が雇用される場合には、賃金の低下分を補う「高年齢雇用継続給付」の手続きが必要になりました。「高年齢雇用継続給付」の手続きをするためには、「雇用保険被保険者六十歳到達時賃金証明書(賃金証明書)」にて、60歳時の賃金を証明する必要があります。

そのため、59歳以上である退職者に対しては本人の希望の有無に関係なく、高年齢雇用継続給付を利用するための離職証明書を提出しなければなりません。

離職証明書の作成が不要なケース

離職証明書の作成が不要なケースは、次の2つです。

離職証明書の作成が不要なケース

退職者の転職先が決まっている場合:退職者の転職先が決まっていて失業給付の対象とならない場合は、離職証明書の作成は不要です。ただし「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出は必要です。
従業員が亡くなった場合:従業員が亡くなった場合についても、離職証明書の作成は必要ありません。ただしこちらも転職の場合と同様に「雇用保険被保険者資格喪失届」の提出は必要です。

離職票と退職証明書は何が違う?

離職票の退職証明書とでは、以下のように発行元や目的、書式や公的効力などが異なります。

離職票退職証明書
目的失業給付のために使用転職先へ退職したことを証明するために使用
発行元ハローワーク勤務先である会社
公的効力ありなし
書式統一書式にて作成決まった書式はない

特に重要な違いが、退職証明書は公的文書に該当しない点です。失業保険の給付時に、離職票の代わりに退職証明書を提出することはできません。

また、退職証明書については、退職者からの希望があった場合のみ作成している企業もあります。企業の人事や労務担当者は、離職票と退職証明書は目的も役割もまったく異なることを理解しておきましょう。

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まとめ

企業が退職者に対して発行する離職関係の書類について、離職票の役割や発行時のルール、退職証明書との違いなどについて解説しました。

離職票の正式名称は「雇用保険被保険者離職票」といい、退職者がハローワークで失業給付や求職の手続きをする際に必要となります。離職票には「雇用保険被保険者離職票-1(離職票-1)」と「雇用保険被保険者離職票-2(離職票-2)」の2種類があり、離職日の10日以内にハローワークへの提出が必要です。

なお、離職票には有効期限や発行期限が設けられていないため、退職者から一定期間空いた後に請求されたとしても、発行すること自体は可能です。

ただし失業給付が受けられる期間は、原則として退職日の翌日から1年間と定められています。仮に離職票を後から発行したとしても、給付期限が切れていれば受給できません。

また、離職票と退職証明書とでは、目的や公的効力、発行元などが異なります。離職票はハローワークでの、退職証明書は勤務先での発行が必要な書類です。

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